薬物療法以外の治療法

リュウマチの治療では、薬物療法以外に次のような治療法もあります。

 

まず1つ目は、リハビリです。

 

リハビリには、“理学療法”、“運動療法”、“作業療法”、“装具療法”の4つがありますが、リュウマチの痛みやはれなどを改善させるためには“理学療法”が用いられます。

 

これは冷水浴や温水浴、アイスマッサージ、ホットパック、赤外線、超音波、レーザーなどの物理的手段を用いた物理療法と、筋肉や関節の運動によって治療効果を高める運動療法とを併せたもので、専門機関で行われるものから家庭でできるものまでさまざまです。

 

2つ目は、手術療法です。

 

リュウマチの手術には、関節破壊が起こる前に炎症部分の滑膜を取り除いて進行を抑える方法と、関節破壊が起こった部分を固定したり、膝や股関節、手指、ひじ、足首、肩などの破壊された部分を人工関節に置き換えたりする方法の2つがあり、かつては人工関節は60歳を超えてからが良いと言われていましたが、最近ではより早く痛みから解放されて快適な日常生活を送ることが大切だと考える専門家も多くなって、若い年代の人にも勧められるようになってきました。

 

薬物療法以外の治療法には他にも、患者の血液から血漿を取り除いて、代わりに健康な人の血漿を入れる“血漿交換”や、抜き取った血液をろ過したり吸着剤を使って問題のある免疫物質を取り除いた後再び体に戻す“免疫吸着療法”、血液を抜き取って問題のある白血球の一部を取り除いた後再び体に戻す“白血球除去療法”などがあります。

薬物療法≪ステロイド≫

抗リュウマチ薬には“非ステロイド系抗炎症薬”以外にも抗炎症効果と免疫抑制作用が強力な“ステロイド薬”があります。

 

これはリュウマチの疼痛や関節の腫れで長い間動くこともできなかった人達に奇跡的とも言えるような回復をもたらしたことから、開発当初はリュウマチの特効薬としても盛んに使われ、開発者たちにはノーベル賞が授与されたほどです。

 

けれども、ステロイド薬を大量に使ったり長期間にわたって使い続けると肥満や食欲不振、だるさなどの症状が出たり、ムーンフェイスといって顔が丸くむくんでしまうことがあったり、骨粗鬆症や動脈硬化、糖尿病、高血圧、高脂血症、白内障、緑内障、といった重い副作用が出ることがあるということが分かって今ではあまり積極的に利用されなくなりました。

 

全身のさまざまな血管に炎症が起こって血液の流れに障害が起こる全身性の血管炎や、肺の表面を覆っている胸膜に炎症が起こる胸膜炎、全身性のエリマトーデスなど、ステロイド薬なしには治すことができない病気に限っては大量に使われることもあるようですが、急にやめるとリバウンドして以前より症状を悪化させてしまうこともあるために、医療現場ではステロイド薬の恩恵を受けながらいかに副作用を最小限に抑えることができるかということが、常に大きな課題となってきました。

 

現在でもステロイド薬はリュウマチの治療に使われることがありますが、体重や血圧、血糖、コレステロールなどを定期的に測定して、重い副作用を起こさないように医師の指導のもとで管理する必要があります。

薬物療法≪非ステロイド系抗炎症薬≫

リュウマチの薬物療法で用いられる薬の1つ“非ステロイド系抗炎症薬”は、速効性の鎮痛作用や解熱作用、抗炎症作用を持つ薬で、“サルチルサン系”のアスピリンやエテンザミド、ジフルニサル、“アリール酢酸系”にはインドメタシンやジクロフェナクナトリウム、“プロビオン酸系”にはイブプロフェンやロキソニン、“オキシカム系”にはフェルデン、フルカム、ロルカム、モービック、“塩基性”にはソランタールなどがあり、リュウマチ性疾患以外にも運動器疾患や疼痛性疾患、発熱などに使用されています。

 

リュウマチの治療では免疫調整作用や免疫抑制作用がないために、抗リュウマチ薬の免疫調整剤や免疫抑制剤、ステロイドなどと併用されていますが、胃腸炎や胃潰瘍、気管支ぜんそく、肝機能障害、腎機能障害、むくみ、などの副作用もあり、坐薬でも胃粘膜に作用するために経口薬と同じように胃潰瘍を生じることがあります。

 

具体的に見てみると、“サルチルサン系”のものは解熱、鎮痛、抗炎症、抗リューマチ作用に優れていますが、胃腸障害やめまい、耳鳴りといった副作用が起こることがありますし、他にも“アリール酢酸系”のものは胎児に動脈管閉鎖を起こすことがあるので妊婦に使用してはいけないことになっていて、他にも胃腸炎や肝炎、黄疸の副作用がでることがあります。

 

また “プロビオン酸系”の副作用は“サルチルサン系”よりも少ないと言われていますが、合成抗菌薬のニューキノロンとの併用で痙攣を起こすケースもあるようです。

薬物療法≪生物学的製剤≫

リュウマチの薬物療法で用いられる薬の1つ“生物学的製剤”は、生物が産生したたんぱく質を利用した最新のバイオテクノロジー技術によってつくられた薬で、関節リュウマチの治療用として2003年から国内での使用が開始されました。

 

これまでの抗リュウマチ薬と比較すると価格は高くなりますが、関節破壊抑制効果においてはかなり期待できるもので、この薬が開発されることによってリューマチの治療は大きな進歩を遂げることができたと言われています。

 

治療において抗リュウマチ薬の効果が不十分だと思われる場合には、抗がん剤としても使われている“メトトレキサート”をメインにした強力な抗リュウマチ薬に変えますが、それでも効果が不十分な場合には“生物学的製剤”を併用して関節リュウマチによって引き起こされる炎症や痛み、はれ、そして骨や軟骨等の関節破壊を引き起こすと考えられている“TNF(Tumor  Necrosis Factor:腫瘍壊死因子) ”の働きを、注射薬によって直接抑える治療が行われます。

 

現在日本では、“インフリキシマブ”、“エタネルセプト”、“アダリムマブ”、“トシリズマブ”という名前の4種類の“生物学的製剤”が使われていますが、これらは非常に高い炎症抑制作用がある一方で副作用として重症のニューモシスティス肺炎や細菌性肺炎、結核など肺の疾患を引き起こしやすくなるので、発熱やせき、息苦しさなどの症状がある場合にはすぐに医師の診察を受け、胸部X線検査などを行って感染の有無を確認する必要があります。

薬物療法≪抗リュウマチ薬≫

リュウマチの治療法には、“薬物療法”、“リハビリテーション”、“手術療法”などがありますが、

 

基本的には、病気を悪化させないための生活指導を行ったうえで症状を和らげて病気の進行を抑えるための“薬物療法”を行い、同時に関節や筋肉を衰えさせないための“リハビリテーション”を継続し、悪化して関節の機能が失われ生活に支障をきたすようになったら“手術療法”への移行が検討されます。

 

リュウマチの薬物療法で用いられる薬の1つ“抗リュウマチ薬”は、以前はまず非ステロイド系抗炎症薬を試してみて十分な効果が得られない場合に使われるというのが一般的でしたが、最近では最初から免疫の異常に対してはたらく“抗リュウマチ薬”が用いられるようになりました。

 

“抗リュウマチ薬”は、免疫をつかさどる細胞に直接働きかけて異常になった免疫系をもとに戻して進行を食い止めたり炎症を抑えたりする作用のあるもので、メトトレキサートやミゾリピンといった“免疫抑制剤”、ブシラミンやサラゾスルファビリジン、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィンといった“免疫調整剤”、さらに生物が作り出した蛋白を利用した“生物学的製剤”の3種類のものが使われています。

 

リュウマチのほとんどは非常にゆっくりと進行し、最初は熱っぽさや体のだるさ、食欲不振、関節のこわばりなどが続き次第に全身の関節へと広がっていきますが、できるだけ早い時期に “免疫抑制剤”を使用することで、関節の破壊を最小限に食い止めることができると考えられています。

リュウマチ疾患の種類≪その他≫

リュウマチの中でも加齢が関係する“変形性関節炎”は、中年以降に発症しやすい病気で70歳以上では約75%以上の人がかかっていると言われています。

 

軟骨というのは通常は傷ついても自己免疫力が働いて再生されますが、加齢による筋力低下や肥満などがきっかけとなって正常な状態に再生させることができなくなると、関節部分の軟骨が擦り減って周囲の骨が変形したり摩耗を起こして違和感があったり、肩こりや手足のしびれ、腰痛、膝や股関節に痛みを感じたり、重症化すると腫れやむくみがみられるようになります。

 

“関節外リュウマチ”は関節だけでなく、皮下組織や腱、筋肉、肺、脾臓、リンパ節、血管、心臓、眼など全身の臓器にリュウマチ性の炎症が起こる病気で、ひじやひざの前面やお尻や後頭部に発生する硬いこぶ状の “リウマトイド結節”や、肺に現れて空咳や息切れを引き起こす“リウマトイド肺”、血管に炎症が起きて心筋梗塞や腸間膜動脈血栓症、神経炎、皮膚潰瘍などを引き起こす“悪性関節リュウマチ”、炎症が長引いたことによって身体のあちこちに蓄積されたアミロイドという物質が下痢や心不全、腎不全などを引き起こす“二次性アミロイドーシス”などがあります。

 

また“リュウマチ性多発筋痛症”は、60歳以上の高齢者に起こる原因不明の病気で、筋肉痛やこわばりの症状を伴って最初は頚椎の痛みから始まって、突然全身の筋肉が痛み出し寝返りも打てなくなってしまうほどになりますが、ステロイド薬での治療によってかなり良い状態まで回復させることができると言われています。

リュウマチ疾患の種類≪代謝異常によるもの≫

リュウマチの発症原因の1つに、“代謝異常”があります。

 

私たちの体の中では常に新陳代謝が行われていて、外界から取り入れた栄養物を分解してエネルギーを作り出したり、身体の成分を作ったりして3カ月余りの周期で脳細胞以外の細胞はすべて新しい細胞に入れ替わって行きます。

 

こうして生命活動が維持されているのですが、この働きが正常に行われなくなって代謝異常が生じた結果尿酸やカルシウムなどの物質が関節に付着すると、炎症や痛みが引き起こされます。

 

代謝異常が原因とされるリュウマチ疾患で、よく知られているものに “通風”や“偽通風”がありますが、両者は症状が似ているとはいうものの“偽通風”に“偽”という文字がつけられているのを見ても分かるように別のもので、炎症を起こす原因となる物質や症状、発症年齢などに違いがあります。

 

“通風”は、関節内の尿酸の結晶が炎症の原因となって足の親指の関節が赤く腫れて激しく痛む急性関節炎症状を繰り返す全身性の病気で、最初は足の指だけだったのが進行すると足首やひざの関節まで腫れたり、尿酸が腎臓などに沈着して機能障害を起こすようになることもあります。

 

一方“偽通風”は、“ピロリン酸カルシウム”の結晶が軟骨に沈着することが関節の痛みや炎症を引き起こす原因となっているもので、痛みは通風のように突然現れて発熱も伴いますが、痛みの度合いは通風よりも軽いのが特徴です。

 

また“偽通風”の場合は遺伝的要素が強く、加齢とともにリスクも高くなっています。

リュウマチ疾患の種類≪細菌・ウィルスによるもの≫

リュウマチには、細菌やウィルスの感染が原因となって発症するものもあります。

 

その1つ“リュウマチ熱”は“溶連菌(A群連鎖菌)”という細菌が繰り返し喉に感染し、アレルギー反応が起こることによって発症する病気で、5~15歳の子供に多く成人して発症することはほとんどないと言われています。

 

咽頭炎や扁桃炎の治療が不十分であった場合に、症状が治まって2~3週間後に突然30度前後の高熱とともに腰や足、ひじ、手首などの関節に炎症が起きて強い痛みが起こり、中には心炎を起こして心臓の弁に障害が残ることもあります。

 

次に、“反応性関節炎”とも呼ばれる“ライター病”は、サルモネラ菌による食中毒の後や淋病などの性病にかかった後に発症するもので、膝や足、手の関節炎に尿道炎、結膜炎の症状を伴います。

 

この病気は、小児から高齢者まであらゆる年齢層に発症しますが、特に20歳前後が多いようです。

 

“真菌性関節炎”はカンジダなどの真菌が血液を介して、一カ所あるいは同時に数カ所の関節に炎症を引き起こし、症状が続くと関節の動きが悪くなって硬直することもあるもので、特に身体の抵抗力が落ちている時にかかりやすいと言われます。

 

また近年になって、細菌でもウィルスでもない“マイコプラズマ”という病原体も注目されています。

 

“マイコプラズマは皮膚炎や腎炎、肺炎、関節炎、髄膜炎などさまざまな疾患の原因となる可能性のあるもので、細胞膜と細胞壁の2種類の物質によって構成されている通常の細菌と違って細胞壁がないために、細胞壁を壊して菌を殺す作用をもつペニシリンなどの抗生物質は効きません。

リュウマチ疾患の種類について≪免疫異常によるもの≫

リュウマチは、免疫異常によって発症することもあります。

 

私たちの体の中で免疫機能をになっているものと言えば、まず白血球を思い浮かべる方が多いと思いますが、実際には白血球が存在するだけでは不十分で、“サイトカイン”という細胞間の情報伝達をする物質が白血球に指令を下すことによって初めて免疫作用が起こるというしくみになっています。

 

この指令には、白血球に身体にとっての外敵を認識するように促すものと、認識した外敵を攻撃するように促すもの、外敵をやっつけたら攻撃をやめて次の外敵に備えて待機するように促すものの3つがあり、正常な時には互いにバランスをとりながら働いていますが、何かの原因でバランスが崩れてしまうと免疫機能の低下や異常が起こって病気を誘発してしまいます。

 

その1つ“慢性関節リュウマチ”は、指や手、手首、ひざ、足、足首など全身の関節の炎症を伴い、良くなったり悪くなったりしながら徐々に進行していくものですが、関節以外の臓器にも病変を起こす全身性の疾患で、疲労感や倦怠感、食欲低下、体重減少などといった症状が出ることもあります。

 

また、皮膚が硬くなって弾力がなくなる皮膚硬化の症状がでる“全身性強皮症”は、肺や腎臓などの内臓や関節、腱などの硬化も伴う病気で、最初は両手指や顔から始まって次第に全身へと広がって進行するものですが、特効薬はないために治療は症状に合わせた薬物療法が行われています。

 

現在ではこれらの病気の発症原因は確定されていませんが、遺伝的要因と環境要因の両方が合わさっていると考えられています。

リュウマチとは?

関節や筋肉、骨といった運動器官に痛みを伴う病気を総称して“リュウマチ疾患”と言い、その数は200種類以上も存在しています。

 

“リュウマチ”という病名は、“rheumal(:流れる)”というギリシャ語に由来しているもので、かつては痛みが引き起こされる原因はすべて脳から出て手や足の関節などに流れていく粘液性の悪い液体であると考えられていたようですが、最近では原因がいろいろあるということが分かっています。

 

まず1つ目の原因は“免疫の異常”によるものです。

 

通常、免疫系は異物を排除するために働いていますが、何らかのきっかけで自分自身の正常な細胞や組織を攻撃するようにはなり、“慢性関節リュウマチ”や他にも“全身性エリテマトーデス”、“全身性強皮症”などといった病気を発症することがあります。

 

2つ目の原因は“細菌・ウィルス感染”によるもので、関節に細菌やウィルスが入り込んで炎症を起こす“リュウマチ熱”、“ライター病”、“ウィルス性関節炎”、“真菌性関節炎”、“硬直性脊椎炎”などが代表的なものです。

 

3つ目の原因は“代謝の異常”によるもので、代謝機能に異常が起きて尿酸やカルシウムが関節に付着し、“通風”、“偽通風”、“糖尿病関節炎”を引き起こしたり、“甲状腺・副甲状腺疾患”を起こすことがあります。

 

リュウマチでは他にも“外傷や加齢”、“ストレス”などが原因となって“変形性関節炎”や“関節外リュウマチ”、“筋肉リュウマチ”などを引き起こすこともあります。